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ウサギ王と加藤賢崇さん

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第5回・ウサギ王と加藤賢崇さんに聞きたい

今回は対談です! インドの少年チャダの冒険物語、『 カモ かみ クケコ そらのたび 』を作ったのは、ウモトサチコさん、うもとゆーじさんによるユニット「ウサギ王」。対するは、お二方が熱烈なファンで今回ナレーションをお願いしたという加藤賢崇さん。加藤さんは、俳優・声優・司会者にしてDJとさまざまな顔を持つマルチなスーパー・ガイなのです。緊張高まる中、じょじょにおしゃべりが始まりました。
カモ かみ クケコ そらのたび カモ かみ クケコ そらのたび
ウサギ王・作/絵
おはなし絵本クラブオリジナル

『製作過程について』
千木良:作品が完成したのはどのくらい前なんですか?
サチコ:夏前……今年の六月か七月でしたね。チャダの企画自体はずっと前からあって、どう形にしようかと考えてました。
加藤:あの作品一本で、絵は何点くらい描かれたんですか?
ゆーじ:三十点くらい?
サチコ:見開きも多かったので、一枚絵で数えるともうちょっと少なかったと思いますが。
加藤:一枚につき三日とかで描いたんですか?
サチコ:いえいえ、それがですね(笑)。一日4ページ進めないと間に合わないスケジュールだったんです。6月頭に締め切りを言われて、6月20日くらいに上げてください、と。

千木良:じゃあ実質、20日間くらいで作られたんですか?
サチコ:はい。毎日自分でカウントダウンをしながら。コンテとかは全部決まってて、あとは描くだけだったんですが。
加藤:へえ。下書きの段階って鉛筆でスケッチブックに描かれるんですか?
ゆーじ:そうですね、せりふやト書きを入れつつ。
サチコ:最初、素材の分量が多くなっちゃいがちなんですよ。全部細かく絵で説明しようとするから。ページ数も決まってるので、そこから整理して、実際の文字の置き方を考えて本番に入るって感じですね。
加藤:削って、そぎ落として行くって作業ですかね。
サチコ:特に言葉はすごく削りました。

千木良:最初は説明書きが多い、長い文章だったんですね。
ゆーじ:普通のお話っぽい感じでした。
千木良:今は詩みたいな感じですもんね。言葉にリズム感があって。


『ナレーションのイメージ』
加藤:僕も、ナレーションをつけるとき自分の間で喋ると、どうしても語りかけるようなしみじみした口調になりがちなんですが、テンポを重視して「タタタタタタ」と韻を踏むような感じを心がけてくださいと言われて、ああそうかと思って。
ゆーじ:ずっと前から加藤賢崇さんに声をやってほしかったんです。どのキャラも賢崇さんの声がイメージに浮かんでました。

千木良:はじめに、どこで加藤賢崇さんをご覧になって候補にされたんですか?
ゆーじ:いちばん最初に見たのは、音楽よりの仕事です。スペースシャワーの司会とか……あとはハウスシチューのCMとか。週刊住宅情報のCMが特に好きで。
加藤:こういうふうに、ボクの細かい仕事をよくご存知なんですよね(笑)

千木良:加藤さんは、最初にウサギ王の作品を見たときはどうでしたか。感想とか。
加藤:正直言って、絵がすごくよくできてるので、声をつける必要はないんじゃないかなと思ったくらいなんですけれど。まあ、少しでもお役に立てればと。
――僕、ウモトさんのお名前は存じてたんですが、ウサギ王という名前で活動されてるのはまったく知らなかったんですよ。ユニットでの活動はもう長いんですか?
サチコ:二人でやるときは『ウサギ王』という名前にしてるんですけど、作品はよく考えると個人名が多いですねえ。
加藤:じゃ、これをきっかけにウサギ王としての仕事がたくさん来るかもしれないですねえ。インド人の子供のキャラクターは、自分らしい感じで素直にやったんですが、ほかのキャラの声はどうするかっていうのは、あまり考えずに――芸の幅が広いわけでもないんですが(笑)――ちょっと頑張って色んな、違う声を出してみました。
サチコ:(笑)面白かったですよ、ねえ。
加藤:声のイメージは元々あったんですか?
ゆーじ:いいえ、逆につけていただいた声で、イメージが定着してしまって。
サチコ:漠然としていたのが形になったって感じです。
加藤:全編、同じような声でベターとやってもよかったんですけどね。
サチコ:色んな声があって、気が利いてるって感じになったと思います(笑)



『ウサギ王の仕事』
千木良:ウサギ王のお二方は、それぞれ他にどういう仕事をされてるんですか?
ゆーじ:プロモーションビデオの仕事だったりとか、ゲームのオープニング映像の仕事とか、彼女(サチコさん)は最近、絵本作家の五味太郎さんの絵を動かしたり。
サチコ:2Dアニメーションの仕事が最近多いですよね。
ゆーじ:あとは自分たちで『PIX』っていう映像のインディペンデント・レーベルをやってます。色んなアニメーション作家を呼んで、オリジナル作品のオムニバスDVDを作ってるんです。フリーペーパーを出しつつ、同時にDVDもやってるという。
加藤:色々やってますね。絵を描くって作業では飽き足らない、色んなことをやらないと気がすまないタチなんでしょ? 世代的にもね。僕ら40がらみのおじさんの若い頃――1978年から80年代に青春を過ごした人にはわかると思うけど、マルチ人間という言葉がはやってて、ひとつのことを追求するのがはやらなかった。映像やってる人は音楽もやり文学もやり、色んなことをやってる人のほうがかっこいいという価値観があった時代です。最近はひとつのことを追求してる人のほうがかっこいいって風潮があるみたいだけど。
ゆーじ:賢崇さんは何年生まれですか?
加藤:昭和37年生まれです。
ゆーじ:大学生の頃、すでにTVに出てて「おーっ」と思ってたから、そのくらいか。僕はそのちょい下です。
千木良:私は賢崇さんの出てる『ドレミファ娘の血が騒ぐ』って映画が好きです。
加藤:僕の役者デビュー作ですね。千木良さんって珍しいお名前ですよね。どういうご出身ですか?
千木良:いつも聞かれます。東京出身ですが、親はたぶん群馬県かどこかの流れです。確か群馬県には千木良村があるんです。
一同:へえ〜珍しいですねえ〜(なんとなく一同感心)



『おじさんになったチャダ』
ゆーじ:チャダは最初、おじさんっていう設定だったんですよ。で、子供向け絵本なのに、主人公がおじさん? と周りに反対されて。
千木良:その話、どこかで見られるんですか?
サチコ:ムービーになって、PIXのDVDに入ってるかな。
ゆーじ:おじさんになったチャダはあんまり人生の要領が良くなくて、毎日ガンジス川に釣りに行くんですが魚もつれなくて……出稼ぎにいかなきゃいけないけど、奥さんと離ればなれになるのはやだなあ、というのもあって……ヨランダさんという奥さんがいるんです。川に釣りに行く前に、毎日寄ってるラッシー屋さん(インドのヨーグルト飲料)でバング・ラッシーというのを買うんですよ。その日も魚がつれないので「また飲むか」ってんで、ラッシーを飲んで「フー」と一息ついたとき、大物の魚がかかるんです。オッと思った途端引きこまれてバチャーンと水に落ち、意識を失ったところで、神様と会って巨大な宝をもらうんですよ。その宝のおかげでチャダはいまの身分から脱出して幸せになる。と、そんなお話なんですけど。
加藤:ハ、ハッピーなんでしょうかね、それは……。

千木良:かなりアシッドな……大人っぽい話ですね。
ゆーじ:そうなんですよね。
千木良:そんなチャダの子供時代が「カモ かみ クケコ そらのたび」なんですね。
ゆーじ:そうなんです。


『子供の頃を思い出して』
加藤:お二人は子供の頃、どんな絵本を読んで育ったんですか?
サチコ:本はたくさん読んでたんですが、オーソドックスな絵本――『ぐりとぐら』とか、うちの親は買ってくれなくて。
ゆーじ:僕も語り聞かせはしてもらってたと思うんですけど、絵本で買うというのはあまりなかったですね。
加藤:こういうのやるにあたって、自分が子供の頃を思い出して、ってわけじゃないんですね。
ゆーじ:ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』という映画のように、うちの父親がホラ話好きでそれを聞いていました。
加藤:僕は2、3歳の頃から『少年マガジン』とか読んでたんで、絵本読んだ記憶がまったくないんです。ちょうど自分の子供が生まれて、読み聞かせをする段階になってやっと自分で体験して……それで心が洗われるような気持ちに……。やっと感覚がわかりはじめた折にこの仕事ができてよかったですよ。『はらぺこあおむし』とか、初めて読みました。

千木良:良い話ですよね。なんでも食べちゃう青虫の話なんですが、しまいに食べ過ぎで動けなくなったか? と思いきや、蝶になって飛び立つんですよ。
加藤:良い話というか(笑)。とにかく本に穴が開いてるから面白いという……。
ゆーじ:そういえば、自分は『とにかく食べる話』とか、あるひとつのテーマを追うようなスタイルで作るのは苦手です。エピソード先行というか……。
加藤:寓話とか教訓的なものは受け付けないということでしょうか。
ゆーじ:いえ、例えば音だけで遊ぶお話なんかはなかなか作れなくて。おとぎ話といったほうが近いかもしれない。ストーリーがあるほうが作りやすいんです。

千木良:お父さんのほら話の影響ですかねえ。
ゆーじ:かもしれないですね。
千木良:よく作家さんの中には、子供のことを考えながら話を作った、とおっしゃる方も多いですが、その点はいかがですか?
サチコ:子供のことを考えても、子供は予想もしなかったところで反応してくる気がして……つかめないですよね。難しい言葉は使わないとか短くリズミカルな言葉で話を進めるように、とかは心がけたんですけど。
加藤:まあ今回はね、カレーがテーマだから。どんな小さい子でもカレーは好きだから、そこんとこで受け入れられやすいんじゃないかな。でも(作中に登場する)ミイラとか最近の子供は知らないんじゃないかと思うけどね(笑)

千木良:ミイラじゃなくて何なら知ってるんですかね? アンドロイドとか? クローン人間とか? イチローとか?
加藤:……イチローはちょっとインドには(いないかも)ねえ。
ゆーじ:ちなみにモアイも出てくるんですが、制作会社担当の高橋さんがモアイモアイと言ってたんですよ。強い要望があって。
サチコ:思わずモアイの資料を探しちゃいました。

千木良:ああいう(モンスター系の)話は面白いですよね。大人になるとウッカリ忘れちゃうけど、子供用の本にはいっぱい出てくるから相当詳しかったりするじゃないですか。
ゆーじ:ああ、人生において、モアイと出会ったこと自体を忘れてましたね。
加藤:モアイが話題になったのも20年以上前なんだけどね……ま、お父さんお母さんといっしょに楽しんでもらいながら、読んでもらえるとね。



『チャダ・サーガ』
千木良:じゃ、最後に読んでくださる方にメッセージありましたらお願いします。
サチコ:読んでいただければそれだけで嬉しいんですが……ウェブ上で見るから、絵だけじゃなくて声もあるし音楽も重なってくるし、と三重構造になってて、しかもたまに動くというのが普通の絵本よりもっと楽しい! うおー!――という感じを体験してもらえると嬉しいな、と思います。
ゆーじ:子供さんだけじゃなく、大人の方が読んでも面白いよう意識して描いたので、お父さんお母さんもご一緒に楽しんでいただけるといいかな、と。今までのお仕事の中でいちばん思い通りの作品ができました。ウサギ王の自信作です。

千木良:賢崇さんからも。
加藤:チャダの旅は、この後もどのように続いてくかわからないですからね……始まったばかりですから……次はチャダ、どこにいってしまうのか!? ファンがいる限りね、サーガとして続いていくことになると思いますので。
千木良:では『エピソード3』を楽しみにね。
加藤:色んな年代のチャダをね。
ゆーじ:(サチコさんに)そういえば、ヨランダさんと結婚したときの話もあったんだよね。

千木良:スターウォーズのアナキンとアミダラ姫みたいな、ラブストーリーですね(笑)?
加藤:そうね。どんな時代に、どんな旅をしてるとこが見たいですか、というリクエストもお待ちしてま〜す!
千木良:では、リクエストも受け付けますということで。本日はありがとうございました!




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  Profile  
ウサギ王
うもとゆーじとウモトサチコの二人を中心に、色々なメディア上で展開されるオリジナルコンテンツの企画、デザイン、制作をしています。また、ウサギ王がオーガナイザーとなり、独立クリエイターの創作によるオリジナルのキャラクター・ストーリーを収録したインディーズDVDレーベル"PIX"を立上げ、活動しています。
 
角 角

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  千木良悠子 千木良悠子   1978年東京生まれ、慶応義塾大学卒。作家として小説「猫殺しマギー」(産業編集センター)を出版しているほか女優や映画監督としても活動。現在「おはなし絵本クラブ」にてウェブ絵本を製作中。
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